抵抗値のステップ(E系列)

電気回路の部品である抵抗(固定抵抗器)の抵抗値って飛び飛びになっていますよね。
この抵抗値のステップがどうなっているかを説明します。

抵抗値のステップ

抵抗値のステップの決め方は、等比数列に基づいたE系列を採用しています。

E系列

値の一覧表は最後のほうに載せますね。
E系列の値に10のN乗を掛けた抵抗値が実際に作られています。

よく使われるのは

  • E3系列
  • E6系列
  • E12系列
  • E24系列
  • E96系列

ほかにE48系列やE192系列も計算で求めることができますが、実際の製品にラインナップがあるのかどうか僕にはわかりません。

例えばロームのチップ抵抗MCRシリーズの場合、データシートにどのE系列の抵抗値が用意されているかが書かれています。(下図の引用した製品ではE24とE96系が使われています)

E系列の計算

各E系列の求め方です。

  • E3~E24系列は、1~10までを有効数字2桁で等比的に24等分した値(10の24乗根)である1.1の倍数を基調として一部を組み替えて調整したもの
  • E96系列は、1~10までを96分割の等比数列にして有効数字3桁に四捨五入したもの

よって、次のことがいえます。

  • E3~E24系列の有効数字は2桁で
      E3はE6系列に内包される
      E6はE12に内包される
      E12はE24に内包される
  • E96系列は有効数字3桁で、E3~E24から独立している

欲しい抵抗値がないとき

ここにない抵抗値が必要なこともあります。

まともに1素子で実現しようとすると、特殊品となって費用も納期もかかります。
まずは、複数の抵抗の合成抵抗で欲しい値を作れないか考えましょう。

例えば、

  • 2.4と3.6を直列にして6.0 (2.4+3.6=6.0)
  • 8.2と8.2を並列にして4.1 (8.2/2=4.1)

僕はいつも大川電子設計の「目標の抵抗値を2本の抵抗で合成」を使わせてもらっています。

余談ですが、電源回路では抵抗値の比率で出力電圧を決めるんですが、ぴったりの値があることはまれで、いつも2つの抵抗から欲しい値を作っています。

E系列の数値一覧

E3・E6・E12・E24系列

E3系列E6系列E12系列E24系列
1111
   1.1
  1.21.2
   1.3
 1.51.51.5
   1.6
  1.81.8
   2
2.22.22.22.2
   2.4
  2.72.7
   3
 3.33.33.3
   3.6
  3.93.9
   4.3
4.74.74.74.7
   5.1
  5.65.6
   6.2
 6.86.86.8
   7.5
  8.28.2
   9.1
10101010

E96系列

マーカー部分がE24系列との共通部分です。

1.001.783.165.62
1.021.823.245.76
1.051.873.325.90
1.071.913.406.04
1.101.963.486.19
1.132.003.576.34
1.152.053.656.49
1.182.103.746.65
1.212.153.836.81
1.242.213.926.98
1.272.264.027.15
1.302.324.127.32
1.332.374.227.50
1.372.434.327.68
1.402.494.427.87
1.432.554.538.06
1.472.614.648.25
1.502.674.758.45
1.542.744.878.66
1.582.804.998.87
1.622.875.119.09
1.652.945.239.31
1.693.015.369.53
1.743.095.499.76

参考文献

以前にも紹介した「抵抗&コンデンサの適材適所」です。

たかが抵抗かもしれませんが、背景を知って回路設計すると設計の質が上がるかもしれないのでぜひご一読を。

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