目次
- 1. 非絶縁形コンバータ
- 2. 絶縁形 矩形波コンバータ
- 2-1. リンギングチョーク形コンバータ
- 2-2. フライバック形コンバータ
- 2-3. フォワード形コンバータ
- 2-4. プッシュプル形コンバータ
- 2-5. ハーフブリッジ形コンバータ
- 2-6. フルブリッジ形コンバータ
- 2-7. 供給電力
- 2-8. 出力電圧とスイッチ電圧
非絶縁形コンバータ
非絶縁形コンバータの出力電圧\(E_o\)とスイッチ電圧\(V_{QP}\)は下の表のようになります。(\(D\)はデューティ比、\(E_i\)は入力電圧)
降圧形 | 昇圧形 | 昇降圧形 | |
---|---|---|---|
\[E_o\] | \[DE_i\] | \[\frac{1}{1-D} E_i\] | \[-\frac{D}{1-D} E_i\] |
\[V_{QP}\] | \[E_i\] | \[\frac{1}{1-D} E_i\] | \[\frac{1}{1-D} E_i\] |
降圧形コンバータでは、出力電圧は入力電圧よりも低くなります。スイッチ電圧は入力電圧と等しくなります。
昇圧形コンバータでは、出力電圧とスイッチ電圧はどちらも入力電圧よりも高くなります。スイッチ素子の耐圧に注意が必要です。
昇降圧形コンバータでは、出力電圧の極性は入力電圧と逆になります。出力電圧は入力電圧よりも高くも低くもできます。スイッチ電圧は昇圧形コンバータと同じく、入力電圧よりも高くなります。
絶縁形 矩形波コンバータ
絶縁形コンバータは、トランスで入力と出力を絶縁した電源です。
リンギングチョーク形コンバータ
FM(周波数変調)制御で動作します。動作周波数が変化することで、出力電圧を安定化します。
なお、リンギングチョーク形以外の絶縁形コンバータはPWM(パルス幅変調)制御で動作します。
フライバック形コンバータ
昇降圧形コンバータのコイルをトランスに変えて絶縁したものです。動作原理は昇降圧形コンバータと同じです。
トランスで極性を反転しているため、フライバック形コンバータの出力は正極性になります。
出力電圧は、デューティ比とトランスの巻き線比で決まります。
フォワード形コンバータ
降圧形コンバータにトランスTとダイオードD1を追加して絶縁したものです。
スイッチがオンの間に、トランスTとダイオードD1を通して二次側に電力を供給します。出力電圧は、デューティ比とトランスの巻き線比で決まります。
スイッチがオフすると、トランスにキックバック電圧(逆起電力)が発生するため、トランススナバーなどで高電圧を吸収する必要があります。
プッシュプル形コンバータ
プッシュプル形コンバータはスイッチが2個あります。
スイッチに加わる電圧は入力電圧の2倍になるため、入力電圧が高い場合は使用できません。
ハーフブリッジ形コンバータ
ハーフブリッジ形コンバータにもスイッチが2個あります。
半周期ごとにスイッチQ1とQ2が交互にオンします。スイッチがオンになっている側の回路は、フォワード形コンバータと同じ動作になります。
1周期あたりに、フォワード形コンバータが2回動作するのと同じ意味を持ち、大きな電力を得ることができます。
フルブリッジ形コンバータ
フルブリッジ形コンバータのスイッチは4個です。上の回路図で、Q1とQ4、Q2とQ3がそれぞれ組となって動作します。
これらのスイッチの組が交互にオン・オフして二次側に電力を供給します。
供給電力
リンギングチョーク形コンバータとフライバック形コンバータは、スイッチがオフの間に負荷に電力を供給するため、あまり大きな電力を出力することはできません。リンギングチョーク形コンバータで150W程度、フライバック形コンバータで250W程度です。
PWM制御であるフライバック形コンバータはスイッチング周波数が固定のため、FM制御のリンギングチョーク形コンバータよりも大きい電力を出力することができます。
フォワード形、プッシュプル形、ハーフブリッジ形、フルブリッジ形の各コンバータは、スイッチがオンの期間に負荷に電力を供給します。
フォワード形の供給可能電力は数十W~1.5kW程度、プッシュプル形・ハーフブリッジ形・フルブリッジ形コンバータは、一般的に数百W~数kWの電力を供給できます。
リンギングチョーク形 | フライバック形 | フォワード形 | プッシュプル形 | ハーフブリッジ形 | フルブリッジ形 | |
---|---|---|---|---|---|---|
出力電力 | 150W程度 | 250W程度 | 数十W~1.5kW程度 | 数百W~数kW程度 |
出力電圧とスイッチ電圧
絶縁形コンバータの出力電圧は、デューティ比(D)とトランスの巻き線比(n)で決まります。
出力電圧\(E_o\)とスイッチ電圧\(V_{QP}\)は表のようになります。
リンギングチョーク形 | フライバック形 | フォワード形 | プッシュプル形 | ハーフブリッジ形 | フルブリッジ形 | |
---|---|---|---|---|---|---|
\[E_o\] | \[\frac{D}{1-D} \frac{E_i}{n}\] | \[\frac{D}{1-D} \frac{E_i}{n}\] | \[D \frac{E_i}{n}\] | \[2D \frac{E_i}{n}\] | \[D \frac{E_i}{n}\] | \[2D \frac{E_i}{n}\] |
\[V_{QP}\] | \[\frac{1}{1-D} E_i\] | \[\frac{1}{1-D} E_i\] | ※ | \[2E_i\] | \[E_i\] | \[E_i\] |
※ 大きなキックバック電圧が発生する
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