スイッチングコンバータの方式【電源】

アイキャッチ

非絶縁形コンバータ

非絶縁形コンバータの出力電圧\(E_o\)とスイッチ電圧\(V_{QP}\)は下の表のようになります。(\(D\)はデューティ比、\(E_i\)は入力電圧)

降圧形昇圧形昇降圧形
\[E_o\]\[DE_i\]\[\frac{1}{1-D} E_i\]\[-\frac{D}{1-D} E_i\]
\[V_{QP}\]\[E_i\]\[\frac{1}{1-D} E_i\]\[\frac{1}{1-D} E_i\]

降圧形コンバータでは、出力電圧は入力電圧よりも低くなります。スイッチ電圧は入力電圧と等しくなります。

降圧形コンバータ

昇圧形コンバータでは、出力電圧とスイッチ電圧はどちらも入力電圧よりも高くなります。スイッチ素子の耐圧に注意が必要です。

昇圧形コンバータ

昇降圧形コンバータでは、出力電圧の極性は入力電圧と逆になります。出力電圧は入力電圧よりも高くも低くもできます。スイッチ電圧は昇圧形コンバータと同じく、入力電圧よりも高くなります。

昇降圧形コンバータ

絶縁形 矩形波コンバータ

絶縁形コンバータは、トランスで入力と出力を絶縁した電源です。

リンギングチョーク形コンバータ

リンギングチョーク形コンバータ

FM(周波数変調)制御で動作します。動作周波数が変化することで、出力電圧を安定化します。

なお、リンギングチョーク形以外の絶縁形コンバータはPWM(パルス幅変調)制御で動作します。

フライバック形コンバータ

フライバック形コンバータ

昇降圧形コンバータのコイルをトランスに変えて絶縁したものです。動作原理は昇降圧形コンバータと同じです。

トランスで極性を反転しているため、フライバック形コンバータの出力は正極性になります。

出力電圧は、デューティ比とトランスの巻き線比で決まります。

フォワード形コンバータ

フォワード形コンバータ

降圧形コンバータにトランスTとダイオードD1を追加して絶縁したものです。

スイッチがオンの間に、トランスTとダイオードD1を通して二次側に電力を供給します。出力電圧は、デューティ比とトランスの巻き線比で決まります。

スイッチがオフすると、トランスにキックバック電圧(逆起電力)が発生するため、トランススナバーなどで高電圧を吸収する必要があります。

プッシュプル形コンバータ

プッシュプル形コンバータ

プッシュプル形コンバータはスイッチが2個あります。

スイッチに加わる電圧は入力電圧の2倍になるため、入力電圧が高い場合は使用できません。

ハーフブリッジ形コンバータ

ハーフブリッジ形コンバータ

ハーフブリッジ形コンバータにもスイッチが2個あります。

半周期ごとにスイッチQ1とQ2が交互にオンします。スイッチがオンになっている側の回路は、フォワード形コンバータと同じ動作になります。

1周期あたりに、フォワード形コンバータが2回動作するのと同じ意味を持ち、大きな電力を得ることができます。

フルブリッジ形コンバータ

フルブリッジ形コンバータ

フルブリッジ形コンバータのスイッチは4個です。上の回路図で、Q1とQ4、Q2とQ3がそれぞれ組となって動作します。

これらのスイッチの組が交互にオン・オフして二次側に電力を供給します。

供給電力

リンギングチョーク形コンバータとフライバック形コンバータは、スイッチがオフの間に負荷に電力を供給するため、あまり大きな電力を出力することはできません。リンギングチョーク形コンバータで150W程度、フライバック形コンバータで250W程度です。

PWM制御であるフライバック形コンバータはスイッチング周波数が固定のため、FM制御のリンギングチョーク形コンバータよりも大きい電力を出力することができます。

フォワード形、プッシュプル形、ハーフブリッジ形、フルブリッジ形の各コンバータは、スイッチがオンの期間に負荷に電力を供給します。

フォワード形の供給可能電力は数十W~1.5kW程度、プッシュプル形・ハーフブリッジ形・フルブリッジ形コンバータは、一般的に数百W~数kWの電力を供給できます。

リンギングチョーク形フライバック形フォワード形プッシュプル形ハーフブリッジ形フルブリッジ形
出力電力150W程度250W程度数十W~1.5kW程度数百W~数kW程度

出力電圧とスイッチ電圧

絶縁形コンバータの出力電圧は、デューティ比(D)とトランスの巻き線比(n)で決まります。

出力電圧\(E_o\)とスイッチ電圧\(V_{QP}\)は表のようになります。

リンギングチョーク形フライバック形フォワード形プッシュプル形ハーフブリッジ形フルブリッジ形
\[E_o\]\[\frac{D}{1-D} \frac{E_i}{n}\]\[\frac{D}{1-D} \frac{E_i}{n}\]\[D \frac{E_i}{n}\]\[2D \frac{E_i}{n}\]\[D \frac{E_i}{n}\]\[2D \frac{E_i}{n}\]
\[V_{QP}\]\[\frac{1}{1-D} E_i\]\[\frac{1}{1-D} E_i\]\[2E_i\]\[E_i\]\[E_i\]

※ 大きなキックバック電圧が発生する

スポンサーリンク




コメントを残す

メールアドレスが公開されることはありません。 が付いている欄は必須項目です