スイッチング電源の種類【電源】

スイッチングコンバータの回路方式

スイッチングレギュレータのDC-DCコンバータ部分は、スイッチングコンバータともよばれます。スイッチングコンバータには「チョッパ方式非絶縁形」と「絶縁形」があります。

絶縁形のスイッチングコンバータは、「非共振形」と「共振形」に分けられます。非絶縁形は主にDC-DCコンバータに、絶縁形のスイッチングコンバータは主にAC-DCコンバータに使われます。

スイッチングコンバータの種類

チョッパ方式非絶縁形コンバータ

非絶縁形コンバータには、「降圧形」「昇圧型」「昇降圧形」の3種類があります。非絶縁形コンバータでは、入力側と出力側はインダクタで接続されていて絶縁されていません。

回路方式スイッチ素子数制御方式主な用途
降圧形1他励式, PWMDC-DCコンバータ
昇圧形1他励式, PWMDC-DCコンバータ
昇降圧形1他励式, PWMDC-DCコンバータ

制御方式の「他励式」とは、スイッチの制御信号を外部から入力して出力電圧を制御する方式です。

また「PWM」はパルス幅変調のことで、スイッチ制御信号のパルス幅(デューティ比)を変えることで、出力電圧を制御しています。制御信号の周波数は一定です。

矩形波コンバータ (絶縁形)

矩形波形の絶縁形コンバータには、「リンギングチョーク形」「フライバック形」「フォワード形」「プッシュプル形」「ハーフブリッジ形」「フルブリッジ形」があります。絶縁形コンバータは、トランスで入力と出力が絶縁されています。

回路方式スイッチ素子数制御方式主な用途
リンギングチョーク形1自励式, FMAC-DCコンバータ
フライバック形1他励式, PWMAC-DCコンバータ
フォワード形1他励式, PWMAC-DCコンバータ
プッシュプル形2他励式, PWMAC-DCコンバータ
ハーフブリッジ形2他励式, PWMAC-DCコンバータ
フルブリッジ形4他励式, PWMAC-DCコンバータ

制御方式の「自励式」は、外部からの制御信号を入力することなく、自発的にスイッチをオン・オフして出力電圧を一定に保つ方式です。

同じく制御方式の「FM」は周波数変調で、スイッチ制御信号の周波数を変化させることで、出力電圧を制御してます。

共振形コンバータ (絶縁形)

矩形波形のコンバータにおいて、スイッチング周波数を上げると、1周期あたりに伝達する電力が減るため、素子を小型化できます。しかし、スイッチング損失が増え、温度上昇が大きくなるため、小型化には限度があります。

実際にはトランスの特性にで、周波数が上がっても励磁電流の大きさは変わらず、トランジスタの損失だけが増えます。また、トランスの鉄損と、表皮効果による銅損が増えるため、小型化には工夫が必要になります。

共振形コンバータでは、共振によって電圧または電流の波形を正弦波にします。そして、電圧または電流が0のところでスイッチをターンオン・ターンオフさせることで損失を大幅に下げられます。ZVS (Zero Voltage Switching)、ZCS ( Zero Current Switching)といいます。

損失を下げてスイッチング周波数を上げることで、スイッチングレギュレータを小型化することができます。

回路方式スイッチ素子数制御方式主な用途
電流共振形他励式, FMAC-DCコンバータ
電圧共振形1他励式, FMAC-DCコンバータ
部分共振形1自励式, FMAC-DCコンバータ

共振形コンバータは、矩形波コンバータのスイッチにLC供試回路を追加して、共振スイッチを構成しています。

  • 電流共振形 : スイッチに流れる電流が正弦波となる電流共振スイッチ
  • 電圧共振形 : スイッチにかかる電圧が正弦波となる電圧共振スイッチ
  • 部分共振形 : 1周期間のある部分だけ共振している方式

参考文献

ノイズ対策の流れで勉強しはじめたパワエレ。現時点ではほぼこの本で学んでいます。計算式もしっかり載せてくれていて、回路の基礎知識があれば十分理解できると思います。

落合政司 著 「スイッチング電源の原理と設計」(オーム社)

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