LEDの電流制限抵抗

LED (発光ダイオード)

LED(=Light Emitting Diode、発光ダイオード)はダイオードの一種で、ほかのダイオードと同じように一方向にだけ電流が流れます。電流が流れる方向が順方向です。

LED回路記号

これはLEDの回路図記号で、アノード(Anode)からカソード(Cathode)の方向へ電流が流れます(回路記号の三角形の向きに電流が流れると覚えればOK)。

砲弾型LEDの場合は、長い方の足がアノードです。なので、長い方を電源の+に近いほうにつなぎます。

(回路図記号・・・正確には電気用図記号と呼ぶそうです)

電流制限

LEDの電流について

LEDの光の強度は電流で決まります。

電圧と光の強度は直接は関係していません。
実際は、電圧増加 → 電流増加 → 光量増加のような関係はありますが。

電流で制御するLEDですが、電流が大きすぎると壊れてしまいます。そのため、LEDに流れる電流を制限する必要があります。

すぐに壊れなかったとしても

  • 寿命が短くなる
  • まぶしすぎて目に優しくない
  • 消費電力が上がる

などの懸念があり、あまり推奨されません。

電流を制限する方法は

  • LEDドライバIC
  • 定電流回路
  • 電流制限抵抗 ← この記事で説明します

などがあります。

LEDに流せる最大電流

LEDのデータシートに載っています。

例として秋月電子のサイトで特性が近そうで色が違うLEDをピックアップしてきました。

型番標準電流VF逆耐圧
OSR5JA3Z74A30 mA2.1 V5.0 V
OSG5TA3Z74A30 mA3.1 V5.0 V
OSB5YU3Z74A30 mA3.1 V5.0 V
OSW4YK3Z72A30 mA3.1 V5.0 V

どれも標準電流が30 mAとなっているので、実際の回路で使用するときにはLEDを流れる電流が30 mAを超えないようにする必要があります。

表の標準電流という言葉は販売ページに書いてあったものです。
データシートを確認するとAbsolute Maximum RatingのDC Forward Current に30 mAとあるので、最大電流と同義と考えてよさそうです。

VF (順方向電圧降下)

順方向に電流を流すために、LEDにある値以上の電圧(←LED製品ごとに決まっている)をかける必要があります。

これがVFの大きさです。

一般的にLEDのVFは、赤色で2 V前後青色や白色は3~3.6 V程度です。上の表もそうなっています。

電源の電圧は少なくともVFは必要なので、1.5 Vの乾電池1本ではLEDを点灯させられません。乾電池1本で点灯させるためには昇圧回路が必須となります。

逆耐圧

アノードとカソードを逆につないで電圧をかけたときに耐えられる電圧です。この電圧までなら逆方向に電流は流れません。

逆方向に耐圧以上の電圧をかけると電流が流れ始めます。そしてLEDが壊れます。

制限抵抗 (電流制限抵抗)と計算方法

電流制限抵抗

LEDに流れる電流を制限するためにLEDに直列に接続する抵抗が電流制限抵抗です(下の回路図ではR4)。単に制限抵抗ともいいます。

計算に使う法則

オームの法則

抵抗値Rは、「その抵抗にかかる電圧Vを、抵抗を流れる電流Iで割る」と求められます。言い換えると「電圧と電流は比例し、その比例定数が抵抗」でもあります。

\[R = \frac{V}{I}\]

キルヒホッフの第一法則 (電流則)

  • 回路全体で、電流は増えたり減ったりしない
  • 枝分かれした回路に流れる電流の和は、枝分かれする前の電流と等しい

要するに、さっきの図の回路なら電源(BAT1)と抵抗(R4)とLED(D5)には同じ電流が流れるということです。

キルヒホッフの第二法則 (電圧則)

  • 閉じた回路で電圧の方向を一方向に決めたとき、各素子の電圧の和は0

さっきの図でいうと

  • 電源(BAT1)の電圧(の和)
  • 負荷(R4とD5それぞれ)で降下する電圧の和

が等しいということ。

計算まとめ

オームの法則と、キルヒホッフの法則で計算します。ポイントを整理します。

  • キルヒホッフの第一法則より、抵抗とLEDには同じ大きさの電流が流れる
  • データシートなどを見てLEDに流す電流を自分で決める (数mAぐらい)
  • LEDのVF(順方向電圧降下)特性より、LEDにかかる電圧はVF[V]
  • キルヒホッフの第二法則より、抵抗にかかる電圧は「電源電圧-VF
  • 抵抗に流れる電流と抵抗にかかる電圧から、オームの法則で抵抗値を求める

計算例

先ほどの回路を例にして抵抗値を計算してみます。

LED回路

この後に載せるシミュレーションと同じ条件にします。

  • 電源電圧は12 V
  • LEDのVFは3.14 V
  • LEDに流す電流を5 mA

この条件を満たすための抵抗値を求めてみます。

  1. LEDと抵抗に流れる電流をIとすると \(I = 0.005\)
  2. 抵抗にかかる電圧VRとすると \(V_R = V – V_F\)
  3. 求める抵抗値をRとする
  4. オームの法則よりRを求める

\[ R = \frac{V_R}{I} = \frac{V-V_f}{I} = \frac{12-3.14}{0.005} = 1772 \]

となって、1772 Ωの抵抗を使うとLEDの電流が5 mAになります。

シミュレーションで確認

LTspiceでざっと確認してみました。適当にピックアップしたNSCW100というLEDに約5 mAを流すための抵抗値を求めました。

LEDのVFはデータシートを見るべきなのですが、今回はシミュレーションから値を拾いました。VF = 3.14 Vとしています。電源電圧は12 Vとしました。

\[R = \frac{12-3.14}{0.005} = 1772\]

となり(さっきと同じ計算ですが)、約1.8 kΩの抵抗を直列に入れればよいということになります。下の画像は1.8 kΩでシミュレーションした結果です。

抵抗を流れる電流が4.9 mAとなっていて、求めた抵抗値は正しいことが確認できました。

LEDが複数個あるとき

LEDが複数ある場合の検討は別記事にまとめました。

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