MAX10の概要まとめ

MAX1000

MAX10 Device Overviewの内容を整理しました。Overviewとは別にデータシートもあります。

特徴

デバイスOverviewによると、

  • 内部フラッシュメモリに2つのコンフィグイメージを保存できる
  • 内部フラッシュメモリにはユーザ領域もあり
  • ADコンバータ内蔵
  • Nios IIが動作

そのほか、単電源動作です。
これらの特徴は、シリーズ内の全デバイス共通ではなく、オプションで選択する形になっています。

型番の詳細 (発注情報, Ordering Information)

いつも型番の意味を検索して回る自分のためにメモ。Overviewなどに詳細が書いてあります。

型番の構成

型番をバラすと次のようになっています。
(例) 10M16DAU484I7G → [10M][16][DA][U][484][I][7][G]

  • 10M: MAX10
  • 16: メンバーコード(LE数)
  • DA: フィーチャーコード
  • U: パッケージタイプ
  • 484: パッケージコード
  • I: 動作温度範囲
  • 7: スピードグレード
  • G: オプション

フィーチャーオプション

前から3ブロック目。1文字目は電源タイプ、2文字目は機能を表しています。

  • SC: Single supply – compact features
  • SA: Single supply – analog and flash features with RSU option
  • DC: Dual supply – compact features
  • DF: Dual supply – flash features with RSU option
  • DA: Dual supply – analog and flash features with RSU option

電源電圧 (パワーサプライ)

シングル電源(Single Supply)とデュアル電源(Dual Supply)の2つのタイプがあります。IO電圧が電源電圧と違う場合は別途用意する必要があります。

  • S: シングル電源
    1つの外部電源(3.3Vまたは3.0V)のみで動作する。内部レギュレータで1.2Vが生成され、コアが動作する。
  • D: デュアル電源
    2つの外部電源(2.5Vと1.2V)で動作する。

電源電圧とIO電圧が同じ場合は、同じレギュレータから供給してもOKです。

シングル電源版は、レギュレータが1つでよいので省スペース。
デュアル電源版は、シングル電源版に比べて高パフォーマンス。1.2Vをスイッチングレギュレータで生成すれば、全体の効率が向上します。リニアレギュレータを使用した場合はシングル電源版と同等。

パッケージごとの電源仕様

バッケージごとに電源電圧が決まっています。

PackageV36V81F256U324F484F672E144M143U169U324
電源DualDualDualDualDualDualSingleSingleSingleSingle

機能

  • C: Compact
    コンフィグイメージを1つ保存できる。
  • F: Flash
    コンフィグイメージを2つ保存できる。リモードアップデートとメモリ初期化が可能。
  • A: Analog
    Flashオプションに加えて、内蔵ADCを搭載している。

ADCブロック数、コンフィグイメージ数

選択可能なADC数とコンフィグレーションイメージ数は、カタログやOverviewの製品一覧で確認できます。

10M0210M0410M0810M1610M2510M4010M50
コンフィグイメージ数1222222
ADC111222

ADコンバータ

  • 分解能: 12ビット
  • サンプリングレート: 最大1MSPS、温度測定時は50kHz
  • 変換範囲:
    シングル電源デバイス: 0~3.0Vまたは3.3V
    デュアル電源デバイス: 0~2.5V
  • 内蔵温度検知ダイオードでオンチップ温度測
  • 電圧リファレンス: 内部、外部
  • 1つのADCブロックに、1つの専用ピンと8つの兼用ピン
    デュアルデバイスでは、最大で18入力ピン(=専用ピン×2+兼用ピン×16)

パッケージ

前から4ブロック目がパッケージタイプ、5ブロック目がパッケージコード。

パッケージタイプ

  • V: Wafer-Level Chip Scale (WLCSP)
  • E: Plastic Enhanced Quad Flat Pack (EQFP)
  • M: Micro FineLine BGA (MBGA)
  • U: Ultra FineLine BGA (UBGA)
  • F: FineLine BGA (FBGA)

パッケージコード

  • 36 : 36ピン, 3×3 mm (WLCSP)
  • 81 : 81ピン, 4×4 mm (WLCSP)
  • 144 : 144ピン, 22 × 22 mm (EQFP)
  • 153 : 153ピン, 8×8 mm (MBGA)
  • 169 : 169ピン, 11×11 mm (UBGA)
  • 324 : 324ピン, 15×15 mm (UBGA)
  • 256 : 256ピン, 17×17 mm (FBGA)
  • 484 : 484ピン, 23×23 mm (FBGA)
  • 672 : 672ピン, 27×27 mm (FBGA)

使用温度範囲

  • C: Commercial (Tj=0~85℃)
  • I: Industrial (Tj=-40~100℃)
  • A: Automotive (Tj=-40~125℃)

スピードグレード

Intel FPGAでは、数字が小さい方が高性能です。MAX10には、6, 7, 8があります。

僕がいつも探し回る最高クロック速度の情報は、データシートのスイッチング特性の「クロック・ツリーの仕様」(英語版では Clock Tree Specifications)に記載されています。

温度 + スピードグレード性能 (MHz)
-I6450
-A6, -C7, -I7416
-A7382
-C8402

オプション

  • G: RoHS6
  • E: エンジニアリングサンプル(ES)
  • P: 有鉛パッケージ

外部メモリインタフェース (External Memory Interface(EMI))

デュアル電源デバイスでは外部メモリインターフェースが使用可能です。

  • UniPHY IPとともに使用する
  • ビット幅は16ビットまで
外部メモリIO Standardビット幅最大周波数 (MHz)
DDR3 SDRAMSSTL-1516 bit + 8 bit ECC303
DDR3L SDRAMSSTL-13516 bit + 8 bit ECC303
DDR2 SDRAMSSTL-1816 bit + 8 bit ECC200
LPDDR2 SDRAMHSUL-1216 bit + 8 bit ECC200

データシートの57ページに次のような記述があります。遅いスピードグレードでは外部メモリインターフェースは使用できないようです。

DDR3 and LPDDR2 SDRAM memory interfaces are only supported on the fast speed grade device.

https://www.intel.com/content/dam/www/programmable/us/en/pdfs/literature/hb/max-10/m10_datasheet.pdf

マイグレーション

FPGAデザインおよびPCB(基板)を変更せずに、 LE数が異なる同一パッケージ品に置き換えることができます。ただし、

  • パッケージ
  • 電源仕様
  • ADコンバータ数

による制限を受けるので注意が必要です。

ADCによる制限

  • シングルADC → シングルADC: 制限なし
  • デュアルADC → デュアルADC: 制限なし
  • シングルADC → デュアルADC: 制限あり
  • デュアルADC → シングルADC: 制限あり

シングルADCとデュアルADCの間でマイグレーションする場合は、1つのアナログ入力専用ピンおよびADC1側の兼用ピン8つのみマイグレーション可能。

参考資料

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